自分を見失ってしまった人が
ひと踏ん張りできるエネルギー源に

本作には、元アナウンサーで、義父のサポートと子育て、主婦業に奮闘しながら市議会議員をつとめる間橋みゆきという地方議員が登場してきます。普通の暮らしのなかで議員として成長していく間橋さんは、「政治ってこんなに身近なものなんだ」ということを体現するキャラクターです。

私は間橋さんの独白として書いた「自分を取り囲むピースが、自分のかたちを決めてしまっている。世間の扱いが先に来て、わずかに残った隙間に、体を無理やり合わせておさまっている」という言葉が気に入っているんです。間橋さんのように気が利いて、全方位的に対応できるがゆえ、便利屋さんのようになってしまう女性が私の周りには結構多くて。

他人の求めに応えるあまり、「自分が本当にやりたいことって何だっけ?」とわからなくなってしまうことがある。彼女たちが現状から一歩踏みだし、より幸せになるにはどうしたらいいのだろうと常々考えているんです。それはきっと読者さんたちのなかにもある気持ちだと思います。

どうすれば、自分を出すためにひと踏ん張りできるか。言い換えれば「強くなれるのか」。本作は、そのひと踏ん張りするときのエネルギー源になればいいなと思っています。

 

『女の国会』著者、新川帆立さん
『女の国会』著者、新川帆立さん

 


女の国会』(著:新川帆立/幻冬舎 )

選挙に弱い政治家は、
誰かの言いなりになるしかない。
だからーー。
強くなりたい。

国会のマドンナ“お嬢”が遺書を残し自殺した。
敵対する野党第一党の“憤慨おばさん”は死の真相を探りはじめる。
議員・秘書・記者の覚悟に心震える、政治✖️大逆転ミステリ!

野党第一党の高月馨は窮地に追い込まれた。
敵対関係にありつつも、ある法案については共闘関係にあった与党議員・朝沼侑子が自殺したのだ。
「自分の派閥のトップも説得できていなかったの? 法案を通すつもり、本当にあったの?」
死の前日の浅沼への叱責が彼女を追い詰めたのではないかと批判が集まり、謝罪と国対副委員長の辞任を迫られてしまう。
だが、長年ライバル関係を築いてきた高月には朝沼の死がどうも解せない。
朝沼の婚約者で政界のプリンス・三好顕太郎に直談判し、共に死の真相を調べることに。