インタビューのなかで察知
国会議員の卓越した“バランス感覚”

“憤慨おばさん”こと、野党第一党の国会議員・高月馨、“お嬢”と呼ばれる与党の二世議員・朝沼侑子、朝沼の婚約者である政界のプリンス・三好顕太郎をはじめ、登場人物には、私が取材で感じたその「行間」のようなものを反映させていきました。議員の皆さんは確固とした自身の意見や政策を持ち、それを押し通すことをしつつも、一方、選挙で勝たなければいけないので、自分が他人からどう見えているか、ということも強く意識されている。政治家というのは、そうしたアンビバレントな要求が自分のなかでぶつかる仕事。取材では、そのバランスを自然に取っていらっしゃる方ばかりだなと感じました。そして自分のやりたいことが、何をすれば通るのかというパズルが、権力構造のなかで瞬時に解ける方ばかりだなとも。

登場人物に、“政治家の独特の勘”を感じるという感想をいただくことが多いのですが、それは実際にお会いした議員さんたちが持つ、そうしたバランス感覚みたいなものから現れてきたのだと思います。

私も小説を書くうえで、自分が書きたいことと、読者さんが何を読みたいのか、そのバランスの取り方について常に考えているので、ステージは違うけど、同じような思考をしている、面白いなと感じました。

『女の国会』(著:新川帆立/幻冬舎)
『女の国会』(著:新川帆立/幻冬舎)