食器を使わない作戦

食器を洗いたくない願望を持つ人は、他にもいた。まずはベテラン編集者の女性。管理職で、いつも清潔感があり、かつおしゃれなコーディネートを決めている彼女も洗うことが面倒たらしい。

「仕事から帰宅後、なるべく包丁を使わず、洗い物を出さないために、宇宙食のようなキットを使って生活していたことがあります」

包丁とまな板を使いたくない気持ちには同感する。

単身の友人は、お皿にラップやアルミホイルを敷いて使用していたこともあると言う。

「買ってきたものをそのまま食べるのは、何となく気が引けるし、食べづらい。それなら食器にカバーをすればいいのよ。これなら洗剤も使わない。普段から避難訓練にもなる」

やや強引だけど、説得力はある。私も揚げ物を買ってきて、オーブントースターにアルミホイルを敷いて温めたら、そのままお皿にのせる。特に映え写真を撮影するわけでもないし、皿も汚れない。これは合理的だ。

……と、ここまでいかにして食器や調理器洗浄から逃れるのか、ということを考えてきた。結論、やっぱり洗う回数は1日1回。食器を使うたびにスポンジを取り出すマメさを、私は持ち合わせていない。

昔、家事が苦手だという長瀬智也が『KinKi Kidsのブンブブーン』(フジテレビ系)でこんなことを言っていた。

「食器もいつも(シンクに)山積みでね。あそこで新種の虫、出てきましたからね」

古い情報なのであくまでニュアンスだけど、我が家のシンクに虫はいない。もうこれで十分だ。雑菌もきっとたった1日で繁殖をすることはないと信じている。もう気持ちが揺れることはない。

料理記録2(写真提供◎筆者、小林久乃さん)
料理記録2。最近、片付けるのが好きな男性と結婚したいと、無謀なことを考え始めた