そびえ立つ大の里

その堂々たる凄さは、千秋楽恒例の「協会ご挨拶」にも表れていた。

初日の「協会ご挨拶」では、八角理事長(元横綱・北勝海)が1横綱、4大関、2関脇、1小結(小結・朝乃山は初日から休場)の8人を土俵上に従えて挨拶をした。ところが怪我のために休場し、千秋楽の土俵に立った三役以上の力士は5人だけ。八角理事長の右に2人、左に2人、真後ろにそびえ立つ大の里の巨大で立派なこと。八角理事長も背後から放たれる強烈オーラに圧迫を感じていたことだろう。迫力あるテレビ画面だった。

5月の空と力士の髷をモチーフにした緑青色の東京・両国国技館の屋根(写真提供◎しろぼしさん 以下同)

大の里の師匠は二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)である。

「大の里」の四股名は、大正から昭和初期の小兵の名大関「大ノ里」がもと。二所ノ関親方が本名の萩原から稀勢の里の四股名になる前の候補だった。親方は「横綱、大関になるような逸材にぜひつけたいと思って温めていた」そうである。(『大相撲中継』令和5年5月20日、毎日新聞出版発行を参考)。

十両では、膝の大怪我で幕内から落ちて十両まで戻ってきた6枚目・若隆景が14勝1敗で優勝。幕内から8年ぶりに十両で相撲を取ることになった3枚目・遠藤は12勝3敗だった。二人とも幕内に復帰して欲しい。