5月12日、大相撲夏場所が東京・両国国技館で始まりました。「荒れる春場所」のあと、今場所はどうなるのか。『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります。

前回「ちょん髷の新小結・大の里の初優勝か?最大4力士での優勝決定戦で、大銀杏の貫禄を示せるのか?」はこちら

史上最速7場所目での初優勝

大相撲夏場所の千秋楽で優勝したのは、昨年夏場所に幕下10枚目格付出しでデビューした新小結・大の里(23歳)だった。幕下付出しの初土俵からでは、史上最速7場所目での初優勝。恐るべし大の里だが、優勝してから土俵下で涙を流していた。国技館で祈りながら見ていた父親も泣いていた。成績は12勝3敗。大の里は、初日に横綱・照ノ富士を倒したのをはじめ大関の霧島と琴櫻にも勝ち、初めての殊勲賞と2場所連続での技能賞を獲得した。

敢闘賞は新入幕の前頭14枚目・欧勝馬が10勝5敗で受賞した。

春場所で110年ぶりとなる新入幕での優勝を果たした平幕の尊富士と同じく、大の里は髪が伸びるのよりも出世が早くて、ちょん髷で優勝賜杯を手にした。大の里は石川県の出身で、能登半島地震の被災地の人たちへ優勝でエールを送った。

大の里は賜杯を手にした後の土俵下でのインタビューで、「強いお相撲さんになっていきたい」と話していたが、身長192cm、体重181kg。その体格を活かして圧力をかけ、素早く相手の横に付いたり、押したり。対戦相手を土俵を出るしかない状態にしていた。

千秋楽の結び前に登場した大の里の対戦相手は、4敗の関脇・阿炎。大の里が負けて4敗になれば、阿炎はもちろん、4敗を守った前頭筆頭・大栄翔、そして結びの一番で大関・豊昇龍に勝った大関・琴櫻との4人でのややこしい対戦になるところだった。

しかし、阿炎は大の里の力に押し出され、「立合いで押し負けてしまった。何もできなかった」と答えたと、NHKのアナウンサーが伝えた。13日目に大の里と対戦して圧勝された前頭4枚目・宇良は、「相手が強かった」と分かりやすい答えだった。