人脈は最大の「財産」
年金は当てにならない、といった話ばかりを聞きますが、今回、紀久子さんの話で初めて、「公的年金って役に立つんだ!」と、モトザワは実感しました。老後に仕事のバリエーションが限られ、稼げる金額も少なくなった時には、数万円でも大きな意味があります。公的年金の数万円があることで、無理してバイトをしないでいいなら、紀久子さんのように病後で体力に不安がある人でも生活してゆけるでしょう。
もちろん、紀久子さんが、将来の生活にめどが立てられるのは、若い時から高級取りで、ずっと厚生年金に高額を掛けていたおかげです。平均では、ずっと働いてきた女性が老後に受け取れる年金は、年間200万円弱、月に16万円程度です。派遣社員や契約社員などは、払った金額も少ないでしょうから、受け取る金額ももっと少ないでしょう。となると、なるべく病気をしないこと、健康で、長く細く働けるようにすることが、最大の「老後の生活防衛術」なのかもしれません。
それにしても、人生ほんとうに何が起こるか分かりません。つい10年前までは、順風満帆の女性社長と見えた紀久子さんが、会社を失い、家を失い、健康を失い、老後を迎えるなんて。なんて神様は酷なのかと思います。そんな中でも、紀久子さんは仲間と人脈は失いませんでした。老後、最後に頼れるのは、血縁かどうかに限らず「人」だと言われます。「人持ち」だったことが、紀久子さんの、決して人から奪われることのない、最大の「財産」だったのだと思います。
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