税金を「取る側」の実感

生島 消費税は福祉目的に充てられる税なので、少子高齢化で福祉にこれからますますお金がかかる日本では、下げることが難しいという意見を言う人もいるのですが?

岩本 そういった側面はもちろんありますし、事実として社会福祉の基盤を下支えしている面もあります。ただ、お金に色はついておりませんので、どうしても必要というなら消費税の増税にこだわる必要はなく、法人税、所得税など他の税金の増税で、あるいは国債を発行して財源を賄うこともできますよね。

『日本経済 本当はどうなってる?』(著:生島ヒロシ・岩本さゆみ/青春出版社)

かつて消費税導入が決まった際に、自由民主党の政務調査会長や大蔵大臣も務めた渡辺美智雄氏が「これで打ち出の小槌が手に入った!」とたいそう喜んでいたそうです。当時記者として担当していた方から直接お聞きしました。税金を取る側としては、まさにこれが消費税の実感なのではないでしょうか。

生島 なぬっ? 消費税は打ち出の小槌!?

岩本 はい、言いえて妙ですよね。OECDの2年に一度の対日経済審査の報告によると、OECDは以前から日本の消費税率10%はOECD各国の平均の税率より低いことから、引き上げをせよとのスタンスです。

ただ、今回の公表の際の記者会見では、相変わらず消費税率の段階的な引き上げに触れてはいたものの、日本の対GDPの税収比率がOECD平均(2021年、日本33.1%、OECD平均34.1%)とほぼ一緒であることを指摘。税率のさらなるアップを強調するよりも、「政府支出をもっと効率的に」、税の変更をするなら「経済成長ありきで」と繰り返していたのが印象的でした。

生島 そうですよ。経済成長がまず先ですよ!