世界に約400ある有料水族館のうち、150近くが日本にあるという。フォトグラファー・野辺地ジョージ氏が撮影する数々の被写体・シリーズの中で、最も古いのが水族館であり、少年時代の思い出をたどる「旅」だ。日本人にとっての水族館とは何なのか…写真と文で繙いていく
全国で唯一野生のアザラシを保護している施設
今年の2月に、母の故郷、北海道へ撮影に出かけた。行程は支笏湖から然別へ、そして釧路・阿寒から野付半島、更に北上して知床、網走、紋別、稚内まで辿り着き、最後には祖父母の家があった小樽まで周った。およそ2週間半の旅だった。途中、紋別市を訪れた際に流氷遊覧船ガリンコ号に乗ることになった。ついでに波止場に隣接している「オホーツクとっかりセンターアザラシランド」と「オホーツクタワー」に立ち寄った。
「とっかり」とはアイヌ語で「アザラシ」という意味だが、3歳になった誕生日の時に小樽の祖父母からもらった絵本「とっかりこっこのこもりうた」(作:わたり むつこ、鹿目 佳代子)を思い出した。祖父は高校の教師だったため、お祝いのプレゼントは常に本であったことに今も感謝している。
アザラシランドは全国で唯一野生のアザラシを保護している施設であり、20頭を超えるゴマフアザラシとワモンアザラシの2種類を飼育している。枝幸市から網走市の間の広範囲にわたって海岸で目撃された怪我や弱ったアザラシを保護し、センターでケアするのだ。