なかなかバスに追いつかず……
わたしは道北バスが、旭川を出て美瑛までどの停留所に停まるのかを調べ運転手さんに伝えた。遠回りやけどねえ、と言いながら、タクシーは、ようやく出発した。
わたしは、都内でよくバスに乗る。各停留所で止まり、人を下ろして乗せて、すぐに追いつくはずだ。
ところが、なかなかバスに追いつかない。わたしを乗せたタクシーは、市街地をすぎ、国道に入った。
「遠回りしなかったら、あんた、もう追いついとったよ」
「すいません」
「遠回りしたからね、人を乗せるから、バスは、だから、ぐるーとまわるから、先回りして国道に出とったら。遠回りしたからね」
おじいさんは、壊れた人形のように遠回りをした件について繰り返した。メーターはすでに2000円をこえていた。
「あ、あれじゃないですか!バス!」
前方に見えるのはたしかにバスだ。トラックじゃない
「あれだねえ」
「バス停で止まれば、追い越して、そのまた次の乗れますね!」
ゴールは見えた、と思ったら、そこからがスタートだった。都会と違って、バス停にはどうやら人がいないのだ。バスは止まらない。そして、国道だからか、なかなかのスピードでバスは走っていく。タクシーのおじいさんは、タコメーターがあるからスピードは出せないからねえ、と言う。なんならバスより遅い。
メーターは4000円目前。
気がつくとバスに先導してもらいながら、延々タクシーで美瑛に向かっていた。
節約旅を希望していたが
バス先導のタクシー青木様がゆくVIP旅に変更。
色々なことが忘れられない旭川。