次々と湧いてくる収納や整理のアイデア

こうして私はミニマムな暮らしに切り替えることができた……はずでしたが、実のところ、ほとんどのものを熱海に運んでしまったのです(笑)。引っ越しの準備をしているうちに、あちらで収納してみなければどれくらいものを処分したらいいかわからない、と思いはじめて。

もとより収納や整理のアイデアを考えるのが好きなので、狭いスペースに収めることができるか挑戦してみよう、という気持ちもありました。

実際にあれこれと工夫をしながら新居を片づけていきました。友達に「天才だ」と言わしめたのが、和ダンスを並べた部屋。メジャー片手に考え抜いて、正方形の部屋の中央に、コの字型に3棹の和ダンスを納めました。同時に2つ以上のタンスの引き出しを開けることはできませんが、1棹ずつならすべての引き出しが開くという絶妙な配置です。計算通りにいったときの痛快な気分といったらありません。

逆に、どうもしっくりこないなと思うと気になって。布団の中で「そうだ!」とひらめくと、深夜にゴソゴソと起き出して模様替えをすることもあります。

周囲の人に「この家具を一人で動かしたの?」なんて驚かれてしまうのですが、実はコツがあるのです。家具の片側をぐっと持ち上げて絨毯の敷物を挟み込み、もう片側も同じようにしたら、あとは絨毯を引っ張るだけ。畳なのでスーッと滑るんですよ。

一番の問題は、ウォークインクローゼットに入れていた洋服や、収納部屋に押し込んでいたアルバムなどをどうするかでした。客間を潰すしか術がないと考えていた矢先に、たまたま我が家の隣が空いたので購入し、そちらはゲストハウス、こちらは自宅と分けることにしました。そして住まいのほうの茶室を、普段使わないものを収める納戸ではなく、いつも使うものを収めるための大きなクローゼットとすることにしたのです。

スペースは確保できたものの、整理整頓しながら収納するというのが至難の業でした。棚があれば整理がつくと考えましたが、作りつけだと融通が利きません。そこでホームセンターへ行って、発泡スチロールでできたブロックと、寸法どおりにカットしてもらった板を買ってきて、自分で作ることにしたのです。

一番下の段に重量のあるアルバムを並べて安定させ、次の段に本、その次の段には軽めのものを置き、一番上に帽子を重ねて収納しています。さらに洋服はキャスターつきのラックに吊るし、部屋に入るときはラックを動かしてスペースを作ることができるようにしました。完璧だわ、と自画自賛したりして。(笑)