「不要というより、自分の変化を受け入れて諦めるという感覚です」(撮影:宮崎貢司)

ものを整理したらスッキリしたけれど

ここまできてやっと断捨離すべきものが明確になりました。不要というより、自分の変化を受け入れて諦めるという感覚です。たとえば10センチヒールのパンプスはもう履けません。それからサイズアウトしてしまった服などもありました。

どなたか使ってくださらないかしら? と思いましたが、人によって好みが違うので差し上げるのは難しい。とはいえ一度しか履いていない靴や、気に入っていた服をゴミ袋に入れるのは忍びない。どうしたものかと考えていたところ、テレビ局の小道具さんが快く引き取ってくださり、あれは本当に助かりました。

そのほかにもリサイクルショップへ持っていったり、人に頼んでネット上のフリーマーケットで売ってもらったり……。手放したものの中には大切にしていた食器などもありましたが、「残しておけばよかった」と後悔したことは一度もありません。

私が考える断捨離の極意は、未練を断ち切る「覚悟」と、ものを無駄にしないための労力を惜しまない「行動力」を備えることなのです。

確かにものを整理したら心もスッキリしました。でも、縮小する一方ではつまらないのも事実なのです。ですから私は欲しいものがあれば買うようにしています。「欲しいわ」と心が動くのは、もっと人生を楽しみたいという生命力の証。ものを増やしたくないからという理由で、自分のワクワクする気持ちに蓋をしてしまうのは本末転倒だという気がします。

もっとも、物欲の濃度や対象は年齢とともに移ろうもの。私は骨董品の器に凝っていた時期があって、少しずつ集めるのが無類の喜びでしたが、あるときを境にピタッと止みました。

結局のところ、使わず無用の長物と化してしまったものもありますが、「高かったのに」などと気に病むことはないですね。それを買うためにお仕事を頑張るとかして、欲しいものを手に入れたときのトキメキってあるでしょう? それだけで、ものは十分に役割を果たしてくれたと私は考えているのです。