不動産屋の原磯が言った。
「実は、その流れで高森さんと知りあったんです」
「それで……」
 阿岐本が高森に尋ねた。「何がどう仕方なかったんだ?」
「相手はとんでもないやつらです。中国マフィアってどんだけえげつねえんだと思いました。平気で人を殺すし、拷問なんかもえぐいんです。そして、金にうるさい。金を借りちまった自分は、やつらの言いなりになるしかねえ」
「マフィアというからには、組織を持ってるんだろうな」
「大きな組織は持っていません。信頼できる仲間数人で手広くビジネスをやってるんです」
「そのビジネスの内容を知りてえな」
「でかいのは不動産ですが、金のためなら何でもやります。強盗とか、詐欺とか……」
「詐欺……?」
「ええ。ぶっちゃけ、神社を買う話も詐欺じゃねえかと……。宗教法人を一億で買うと言ってますが、実際にはそんなに出さないでしょう。せいぜい一千万円がいいところです」
 すると、多嘉原会長が言った。
「詐欺だと知ってて、大木さんに話を持ちかけたのかい?」
「あ、すいません。自分じゃもうどうしようもねえんで……」
 大木が言った。
「一千万じゃ割に合わないなあ……」
 高森が頭を下げる。
「すいません……」