「ふだんから楽しく快適で役に立つものが、まさかの時に『やっておいてよかったね』となるのがベスト」(矢守さん)

矢守 ふだんの生活の延長線上に防災がある。まさに理想的な環境です。実はそこが一番大事なポイントで、災害は「まさか」の出来事ですが、できるだけ「ふだん」と「まさか」のギャップを小さくする生活を心がけるのが、「生活防災」の考え方なんです。

紺野 「生活防災」ですか!

矢守 「まさか」の時のためだけに準備する行動は、いずれやらなくなるからです。「まさか」はめったに起きない。ふだんから楽しく快適で役に立つものが、まさかの時に「やっておいてよかったね」となるのがベスト。

紺野 なるほど。「ふだん」と「まさか」が、無理なくつながることが理想的なのですね。

矢守 そういう意味では、非常食も普段から食べ慣れたものや、好きな味のものをストックしておくといいでしょう。賞味期限が近くなったら食べて、新しいものを補充する。それを「ローリングストック」と言います。

紺野 ひと昔前は非常食と言えば乾パンが主流でしたが、種類が増えてありがたい。(笑)

矢守 被災した時は体も心も弱っています。そんな時こそふだん食べているもの、美味しいものを食べると元気が出るんですよ。甘いお菓子や嗜好品を入れておくのもおすすめです。

紺野 さっそく大好きなドリップコーヒーのパックとチョコレートを備蓄品に加えてみます。