「落語のスキルのひとつにしゃべるスピードがあります。プロなら速くしゃべれなくてはいけない。間や感情移入は、速さを身につけてからのこと。そのためには、修業しかないんです。」

メロディ、リズムスピードの三拍子

酒井 談春さんは、ドラマの『下町ロケット』や『いだてん』にも出演されていました。役者として演じることと、落語で演じることの違いはありますか。

談春 「こんちは」「おや、八っつぁんかい。遠慮はいらない、まあまあお上がり」「どうもご馳走様です」「なんだい、そのご馳走様ってのは。まあまあお上がりと言ったんですよ」「まあまあを、まんまと聞き違えちゃったんで」――。これ、演じてたらできない。話芸はメロディとリズムです。

酒井 音楽のようなものなのですね。

談春 あと、落語のスキルのひとつにしゃべるスピードがあります。プロなら速くしゃべれなくてはいけない。間や感情移入は、速さを身につけてからのこと。そのためには、修業しかないんです。

酒井 一人前になるまでには、かなり時間がかかりますよね。

談春 真打になるまでに、10年、15年かかります。酒井さんは高校生ですでに職業作家だったわけでしょう。天才ですよ。

酒井 いやいや、とんでもない。