「仲良く」なんて望まない。ほどほどのつき合いを保てればいいけれど、そうもいかないのが夫のきょうだいとの関係だ。ときに災いの種となり、敵となって行く手に立ちはだかる小姑・小舅たち。妻にとっては他人でも、夫にとっては血のつながりがあるだけに厄介で……サチヨさんの場合、傍若無人な義兄夫婦の振る舞いに怒り心頭で…(取材・文=福永妙子)
断りなしに冷蔵庫を開けてビールを飲む義兄
「結婚するとき、姑はどんな人なのか気になったけれど、夫のきょうだいについては考えもしなくて……」
ため息まじりに話すサチヨさん(42歳、仮名=以下同)は、夫の兄との関係に悩まされ続けている。
サチヨさん夫婦は、次男である夫が実家の跡を継ぎ、73歳の母親と同居。一方、義兄一家は、車で5分ほどのところに住んでいる。
「義兄はうちに来ると、断りなしに冷蔵庫を開けてビールは飲むわ、子どもたちが見ているテレビのチャンネルは勝手に変えるわ、我が物顔に振る舞う。あげく、チッと舌打ちして『あ~あ、この家は居心地悪い』と悪態をつく。
実家といっても、10年前に建て替えて、そのローンは共働きの私たち夫婦が払ってるんです。それを好き放題にやって、『居心地悪い』もないでしょう?」
義母も自分への手みやげをもって来てくれる息子がかわいいのか、何も言わず、それどころか「嫁は私に何もしてくれない。それにくらべてあんたは……」と義兄をほめそやす始末。そして、似た者夫婦というか、義兄の妻もまた非常識な人なのだ。
「私が長男を妊娠したとき、義兄のところも2人目ができたんです。つわりがひどくて私が休職していると、義姉は、自分もつわりだから2歳になる上の子をあずかってくれと言うんですよ。
当時は姑も働いていて日中は家にいないから、私がその子の面倒を見なきゃいけない。私もしんどいのになぜ? と思ったけれど、結局、しばらくあずかっていたんですね。
あるとき、食べさせたヨーグルトでおなかを冷やしたのか、その子がちょっと下痢気味になった。すると義兄夫婦は、すごい剣幕で文句を言いに来たんです。まさに罵詈雑言ですよ」