主婦の意見を取り入れて

無印良品を開発するきっかけも、コアでの活動にあった(由井編1991b)。

コアで料理素材缶詰のマッシュルーム缶詰の試作品を検討した際に、西友の商品開発担当者と、メーカー、テストキッチン会員主婦によるディスカッションが行われ、その場で主婦から「マッシュルーム(ホール)は丸ごとなのに、何故スライスはカサの両はじをカットするの?」との発言が出た。

無印良品の開発(1980-83年)(出所)由井常彦編(1991)『セゾンの歴史――変革のダイナミズム』下巻、リブロポートにより作成。

この発言から、(1)商品化による素材の無駄、(2)加工工程の増加による余計なコスト、(3)使い手にとっての必要性の有無、といったポイントへの気づきが生まれ、高品質のものを低コストで調達し、使い手にとっての機能追求で低価格化していく無印良品のコンセプトが固まっていった。

上記には、初期の無印良品の代表的商品を挙げてある。無印良品のコンセプトは「わけあって、安い。」というわかりやすいコピーでアピールされたが、代表的商品それぞれのコピーにも「わけ」が付記されていたことがうかがえる。