教員のストレスが「同僚いじめ」を生む

実は、こうした教員による同僚への「嫌がらせ」は氷山の一角だという。大阪府南部の府立特別支援学校では、5年前、50代の女性教員が、30代の男性教員から「お前の顔を見てたらムカムカする」などの暴言を何度も浴びせられ、急性ストレス障害になった。

この女性教員は男性教員を訴え、大阪地裁は22万円の損害賠償の支払いを命じた。女性は「校長が放置した」として当時の校長と大阪府を相手に、新たに600万円の損害賠償を求める民事訴訟も起こしている。

驚くべき「同僚いじめ」の背景には、教員の抱える大きなストレスがある。児童・生徒への体罰が禁止され、指導する際に体が接触するようなことがあれば、生徒から「体罰や。教育委員会に言うたるぞ」などと追い詰められる。

一方で、モンスターペアレンツと呼ばれる、理不尽な要求をする保護者にも「忍」の一字を強いられる。

前出の藤森氏は、「以前は一人の教員の失敗もみんなでフォローしてきたが、今は学校が失敗の許されない、余裕のない職場になっている。あそこまでのことをした東須磨小学校の問題の女性教員に、どんなストレスがあったのかを知りたい」と話す。

Aさんは生徒たちへのメッセージで「今の先生だからこそ、お願いです。つらい時、悲しい時自分一人で抱え込まずに、誰かに相談してください。必ず、誰かが手を差し伸べてくれます。助けてくれます。いつか、みんなの前でまた元気になった姿を必ず見せに行きます。その日を夢見て先生も頑張ります」、と切々と綴った。

東須磨小学校で、4人の悪質行為や暴言は職員室でも行われていたが、止める教員はいなかった。Aさんがそんな学校に戻っても、希望を持つことは難しいかもしれない。しかし、復帰を待ちわびる生徒たちとわが道を歩んでほしい。