嫌がらせを隠蔽し加害教員をかばう校長

嫌がらせは、教育実習を終えたAさんが17年春に初任地として同校に赴任した頃から始まり、昨年から激しさを増したようだ。

Aさんは今年7月に教頭に被害を訴えたが、被害を知った仁王美貴校長(55歳)は4人に口頭で注意しただけで、市教委には「教員間のトラブルがあったが解決済み」と過小報告した。

Aさんは精神的苦痛などで、19年春から睡眠障害、呼吸困難、嘔吐などの症状が表れ、2学期が始まる9月から休職し、家族が神戸市教委に通報した。Aさんと親しい知人男性はテレビ取材に「8月頃から死にたいと話していた。9月には遺書を書いたのでまずいと思った」と打ち明ける。

Aさんの代理人弁護士は10月11日、兵庫県警に「暴行容疑」で被害届を提出した。取材に対し、「捜査してくれないのなら刑事告訴も辞さない」と語り、「男性教員3人が個別に行った悪質行為も多く、必ずしも女性教員の主導ともいえない」と見る。

事件が大ごとになり10月9日、ようやく仁王校長らが開いた会見では、現在休職中の加害教員4人が東須磨小学校に復職することはないと明言。だが4時間に及ぶ会見中、すでに市教委が認定し発表していた激辛カレーの事案などについて、自ら口にしようとはしない。

記者に問われると、「どれもひどいもので驚きました。絶対に許されるものではありません」と涙を見せたが、筆者は、認識していたが隠していたと感じた。今春まで同校で教頭を務めていた仁王校長が知らないはずはなかろう。加害者たちに罪の意識はなく、悪質行為は堂々と行われていた。Aさんは同校長に再三、手紙を送り、嫌がらせの証拠写真や映像も渡していた。

仁王校長は会見中、加害教員の一人である男性教員が受け持っていた学年についてうっかり口にした後、すぐに「私は言ってはいけないことを言ってしまいました。個人が特定されるかもしれないので」と盛んに繰り返した。あたかも被害教員よりも加害教員の人権が大事と言わんばかりの姿だった。

10月3日に開かれていた1回目の保護者説明会でも説明に立った仁王校長は、「足を踏むなどの行為があった」などとだけ説明。逆に「(加害教員から)教えられることも多かった」と加害教員を弁護した。この時点ですでに信じがたい行為の多くを把握していたにもかかわらずだ。

加害教員の4人は「そこまで嫌がっているとは思わなかった。悪ふざけが過ぎた」と弁明しているという。「悪ふざけ」と言っていることに対してAさんの代理人弁護士は、「いじめ事案では、ほとんどの加害者は『嫌がっているとは思わなかった』という弁明をします」と一蹴する。