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2019年10月、兵庫県神戸市の東須磨小学校で、男女4人の中堅教員による若い男性教員らへの悪質な嫌がらせ行為が発覚した。校長の会見が開かれたが、その後の対応には疑問の声も多い。12月4日には、市議会は、市立小中高の校長や市教委幹部ら約320人分の冬のボーナスの増額を見送る条例改正案を賛成多数で可決している。神戸市の一小学校で何が起こったのか。教育現場の仰天事案を追った(取材・文=粟野仁雄)

「ハラスメントではない、犯罪行為や」

10月16日午後10時近く、山陽電鉄・東須磨駅前にある神戸市立東須磨小学校の正門から保護者たちが出てきた。待ち受けていた報道関係者と一緒に追うが、ほとんどは足早に逃げ去ってしまう。

この日、午後7時から保護者説明会が開かれていた。取材に応じてくれた男性によると、説明会では保護者の怒りも大きく、「ハラスメントではない、犯罪行為や」「4人の加害教員を子どもに直接謝罪させるべきだ」といった声が出たが、神戸市教育委員会の担当者は言葉を濁したという。

加害教員らのお詫びの手紙が読み上げられたが、4人のボス的存在と見られる40代前半の女性教員の「(被害教員を)可愛がっていただけに苦しんでいる姿を見るのはつらいです」には苦笑が漏れたそうだ。

「可愛がっていた」とはどういう意味か。角界の厳しい稽古をさす「しごき」や、暴力団などが「痛めつける」の意味で使う「可愛がる」という言葉がある。今回の仰天事案はいじめや悪ふざけのレベルを超え、刑事事件にすべき「リンチ行為」である。その意味で「可愛がる」はぴったりか。

10月4日の『神戸新聞』朝刊のスクープで、同小学校の男性教員Aさん(25歳)ら20代の教員4人が、前出の女性教員と3人の30代の男性教員から、さまざまな悪質行為を受けていたことが明らかになった。まずはAさんが受けた「あ然茫然」の行為の一部を紹介する。

●神戸市教委が確認しているもの

(1)羽交い絞めにされたまま激辛カレーを無理やり食べさせられ体に塗られた。
(2)ロール紙の芯でミミズ腫れになるまで尻を殴られた。
(3)買ったばかりの車の屋根に乗られた。
(4)車の中に故意に液体などをこぼされた。
(5)若い女性教員にセクハラのメッセージを送信させられた。
(6)目や口に激辛ラーメンの汁を塗りたくられた。
(7)自宅までの送迎を強要された、など。

●市教委未確認でAさんが訴えているもの

(1)熱湯の入ったやかんを顔に押しつけられた。
(2)鞄や靴に数十回以上、氷を入れられた。
(3)ビール瓶を口に突っ込まれて飲まされ、瓶で頭を叩かれた。
(4)飲み会でドレッシングや焼き肉のたれ、キムチ鍋の素を大量に飲まされた。
(5)口に大量の菓子を詰め込まれた、など。

中でも衝撃的だったのが、2018年9月の悪質行為。家庭科教室でAさんが羽交い絞めにされて、「ごめんなさい。僕、辛いの好きじゃないんです」と懇願しているのに、女性教員が笑いながら器に入ったカレーをスプーンで彼の口に運び、他の教員も笑っている映像が公になった。

Aさんは直後、走り回って吐いていたが、撮影した男たちは「もらったあ、もらいましたあ」と狂喜している。さらに、「カレーを吐いたりするのが面白かった」と、生徒に嬉々として話していたという加害者たち。

教員同士だけの場に限らない。女性教員はAさんの受け持つクラスの生徒に、「反抗しまくって学級を潰したれ」とけしかけている(市教委確認)。さらに「A(教員)の言うことは聞かんでいい」とも言っていたという。(同未確認)