『関係教員の相関図』

新任教師は奴隷のようなもの

「子どもとよく一緒に遊んでくれ、学級新聞を週に2回も出していました。熱心で優しく、児童にも好かれていた」と語るのはある保護者。

そんなAさんがいじめの対象にされたことについて、『いじめ解決の政治学』などの著作のある藤森毅氏は、「最近の学校はパワハラが増えている。ひどい職場だと年功序列で、新任は一歩間違えば“奴隷扱い”。今回の事案は(旧日本軍の)初年兵いじめのよう」と指摘する。

悪質事案でなくとも、熱心な新人教員ほど古株のベテラン教員につぶされやすい。新人に保護者や児童からの評価が高まると、同じレベルで自分たちもやらなければならなくなるからだ。

藤森氏は「2000年頃から、徐々に校長の権限が強まり、教員間の話し合いの場が持たれなくなりました。加えて、03年に教職員評価制度が始まり、同僚がライバルとなるなか、中間管理層も出現。権力を持つはずの校長が事なかれ主義者だと、別の誰かがボスとなる。その場合、力で押さえつける教員が大きな顔をするようになります。今回は校長もボス格の女性教員らが怖く、見て見ぬふりをした可能性がある」と見る。

代理人弁護士は「Aさんに(加害教師に対して)強い処罰感情はないようです」と話すが、これについても、「(Aさんが)被害者感情を持てない状態は、深刻ないじめの特徴のひとつです」と藤森氏。

不思議なのは、幼稚で非常識な4人が「指導力がある」と学校関係者や保護者に評価されてきたことだ。だが藤森氏はこれについても、「指導力といっても、子供を押さえつけている場合もある。それは偽の指導力ではないか」と指摘する。

女性教員は「姉御肌でひいきが激しかった」(保護者)らしく、気に入らない生徒の胸ぐらをんだりすることがあったという。ひいきされていた生徒の保護者らは異を唱えないから、状況はより複雑に、難しくなる。

神戸市は3人の弁護士からなる第三者委員会を設置し、10月18日に初会合を開いた。年内に報告書をまとめる見通しだ。

一方で現場の東須磨小学校は、「給食からカレーのメニューを外す」とした。「生徒の心情に配慮」が名目だが、まさに小手先の対策。激辛カレー事件のあった家庭科教室も、「つらくて部屋に入れない児童もいる」を理由に改修するが、筆者には忌まわしい記憶に蓋をする行為に思えてならない。