子育てと夫の世話で終わりたくない
あさの 私は岡山に住んでいますが、まわりを見ると、農業をやりながら家事をし、義父母や実の両親の介護もしている女性が大勢いる。主婦の仕事はあくまで一部で、お米や野菜を作ることも、人生の大事な部分なんですね。
主婦業以外に自分の核があるのは大切なことだし、女性はその大切さを本能的にわかっている気がします。わかっていないのは、男のほう。
生田 共感します! 私は子どもを産んだのが比較的遅いのでもう50歳を過ぎていますが、まわりのお母さんたちはほとんど40代。今、皆さん悩んでいる時期です。やっと子どもの手が離れ始め、この先どう生きるのか。
子育てと夫の世話だけで人生を終えたくないから、仕事をしたいと考えている方も多いし、仕事でなくても世の中の役に立つことをしたい、とか。ただ、この年代になると、親の介護の問題も視野に入ってくる。
あさの 私も自分の両親と夫の両親を看取ってきました。女性は母として子どもを育てるだけでなく、主婦、娘として親の面倒を見るなど、すごくたくさん役割があって、それをこなして当たり前という意識がまだまだ根強い。それは、自分の内にも外にもあるんですよ。
生田 そうですね。
あさの 「主婦業に定年はあるか」というのは、実は大きな社会的テーマでもあると思います。女性たちが自分の役割を果たしつつ、そこからちょっと自由になる。100%は無理でも、5割、あるいは2割でも自由になって、“素の自分”の核を作るためにはどうしたらいいか。
介護に関しては、娘や嫁が奮闘しなくて済むシステムを作らなくてはいけないし、政治や社会の問題も大きい。ところが日本の場合、そこを愛情や義務に微妙にすり替えている気がします。
生田 女性の側も、私は娘だから、妻だからと、自己規制しがちですし。
あさの 「女性活躍」といった言葉も聞かれますが、社会に出てある程度稼ぐことが活躍だというのも、男性的な価値観。生田さんがおっしゃったように誰かの役に立ちたいからボランティアをするのもいいし、趣味を広げるのでもいい。
男性が創り上げてきた社会的概念とは違うところで芽が出て花が咲く可能性を、女性はたくさん持っていると思います。