彬子女王 女性だから苦労した、女性だからこうしようと思った、ということはありません。わたくしが男性でも、同じことをしたと思います。ですが、団体を創設するにあたって銀行口座を作ることには苦労しました。
わたくしは名字がないので印鑑が「彬子」ですし、「こんな子どものお使いみたいな資料で口座を作ろうとするなんて」と口座が作れず、2、3軒銀行を回ったことはありましたね。
酒井 そういったことも、ご自身でなさったのですね。
彬子女王 会を始めた当初、ワークショップへの参加者が関西に比べて東京ではなかなか集まらず、不思議に思っておりました。ワークショップのチラシを配りながら理由を尋ねてみると、東京の子どもは塾や習いごとで忙しいのだとか。
京都など関西では、お稽古ごとを休ませてでも文化的なことを経験させたいと思う親御さんが多いという発見もございました。
酒井 京都は特に、日常と文化の距離が近いように感じます。彬子さまは現在、京都の大学で教えていらっしゃいますが、皇室と深いかかわりを持つ京都でのお暮らしはいかがでしょうか。
彬子女王 「姫ちゃん」「姫ちゃま」などと呼んでくださったりする方が多く、ご近所の方から「姫さん、今朝はえらい早いですなあ」とお声がけいただくのが嬉しいですね。以前、友人がわたくしの誕生日ケーキを注文した際に、プレートに「お誕生日おめでとう 姫ちゃま」と書いてもらおうとしたら、「え?」と2回ほど聞き返されたそうですけれど。(笑)
天皇陵が住宅街の中にあるので、「陽成天皇さんのご陵を右に曲がって」というような会話が自然と出てくるのは、ありがたいことだと思っております。