「機能性ディスぺプシア」の可能性も

胃腸の不調を改善するには、食養生などのセルフケアが有効です。

「胃腸に負担をかけないよう、質のよい物を腹八分目で食べる、冷たい物を飲まない、などを心がけるといいでしょう。また、冷えが気になる人は胃腸のトラブルを起こしやすい傾向にあります。消化管を冷やさないことはもちろん、体全体の冷えの改善に努めてください」

胃腸をいたわる生活を続けても不調が続くようなら、医療機関を受診しましょう。

「内視鏡検査などを受けることで、胃がんや胃潰瘍など病気の有無がわかります。特に異常がない場合でも、『機能性ディスぺプシア』の可能性があるので注意が必要です」

機能性ディスペプシアとは、加齢やストレスなどから胃の働きが悪くなり、胃痛、胸やけ、胃もたれ、お腹の張りなどの不快症状が起こる病気。生活習慣の見直しや薬の服用で改善されるといいます。

「胃腸の調子が整うと、栄養のみならず、ビタミンやミネラルなどの重要な物質を十分吸収できるようになるので、元気になる人が多いですね。また、腸と自律神経は密接に関係しているため、腸の調子がよくなることで、自律神経の乱れからくる不調が改善されることもあります」

次ページから、胃や腸をいたわり、年末年始を上手に乗り切るための具体的な方法を紹介します。

 

■消化のしくみと不調時の胃の様子

【正常な胃の動き】
食道から食べ物が入ってくると胃の上部が広がり、蠕動運動によって食べ物と胃液を混ぜ合わせて十分に消化してから十二指腸に送り出される
【不調時の胃の動き】
胃の上部が広がらないため多くの食べ物を受け入れられず、少量でお腹いっぱいに感じる
ぜん動運動が不十分なため、胃の中に食べ物が長時間残り、胃もたれなどを感じる