モネの『睡蓮』と鹿の手水舎

オフシーズンの晩夏だったせいか、参拝客の姿もまばら。桜や紅葉は見られないものの、奈良の猿沢池を模したという「鯉沢池(こいさわのいけ)」に、睡蓮の花がひっそりと咲いていました。

池にかかる橋と水面に広がる睡蓮。どこかで見た風景だと思ったら、印象派の画家・モネが好んで描いた睡蓮の池に似ています。そのため、「モネの池」と呼ばれることもあるとか。言われてみれば「うーん、なるほど」という感じでしょうか。

境内にある鯉沢池の眺め
境内にある鯉沢池の眺めは、モネの有名な連作『睡蓮』を思わせる?

境内をさらに奥に進むと、本殿が見えてきます。

檜皮葺きの4社殿が連なる本殿は、奈良の春日大社と同じ様式で、「京春日」との呼び名にふさわしいたたずまい。こんな連載をしているせいか、本殿に参拝すると、平安時代の人々と時空を越えてつながったような感慨を覚えます。

鹿が、神様のお使いの「神鹿(しんろく)」として大切にされていることも春日大社と同じ。1995年までは、実際に鹿が飼われていたそうです。

鹿がいなくなった現在も、神鹿をモチーフとしたものが境内のあちこちに。たとえば、「手水舎」には鹿の像が置かれており、鹿がくわえた巻物から水が流れ出る趣向になっているのです。

鹿の手水舎
かわいい鹿の手水舎。鹿がくわえた巻物から水が流れてくる