黒電話が懐かしい

ふと、昔の黒電話の頃は良かったなあと思う。

幼い頃、張り切って自宅の電話に出る。するとかけてきた大人が相手の家を慮って、ビジネス枕詞のような言葉から通話が始める。

「朝早く、ごめんなさいね。✖✖ですけど」

「お昼時にすみません、✖✖と申しますが」

「夜分遅く失礼します」

連絡の思いやり、究極はこれだ。スマホにかけて「今お電話よろしいでしょうか」程度の定型文の挨拶は発するけれど、それ以降はとにかく用件を済ませることに集中している自分に気づく。

これじゃ、おばさんの名が廃るわと、自宅で仕事をしている人に電話をするときは「夕飯時にごめんなさい」と話すようにしている。受けた相手も久々に聞くワードなのか「いえいえ」と恐縮。そして始まる会話。すごく良いと思うので、黒電話マナーと呼んで広めたい。

黒電話
(写真:stock.adobe.com)