子が産まれても

そこで彰子が改めて問いかけると、敦康親王は寂しそうな顔をしながら「子が産まれたら、私と遊ばなくなるのでしょう?」と話します。

驚いた様子を見せる彰子。

そんなことはない、と否定するも、続けて敦康親王は「私は中宮様の子ではありません。まことの子がお生まれになれば、その子の方が愛しくなるのは…道理です」と続けます。

対して一瞬考えこむ彰子。

口を開くと、「親王様が、ほんの幼子であられたころから、親王様と私はここで一緒に生きてまいりました。今日までずっと。帝のお渡りもない時から、親王様だけが私とずっといてくださいました」と話します。

さらに「この先も私のそばにいてくださいませ。子が産まれても、親王様の心を裏切るようなことは決してございませぬ」と伝え、二人はそのまま時を過ごすのでした。