鉄板ネタは海外でも通用する!?

久保 外国に行ったときに「英語がしゃべれなくても日本語でジェスチャーしてゴリ押しすれば通じる」みたいなのがあるじゃん。私はそれ、やれたことがないんだよね。外国人に対して日本語で押し通すって、絶対恥ずかしくてできないっていう(笑)。

能町 でもゴリ押しでいける人は確かにいますよね。

久保 いる。あのマインドは……それで通じると思って日本語で話したこと絶対ないよなと思って。

能町 BSでやってる「異郷の駅前食堂」という番組があるんですよ。海外の知らない町の駅前食堂に行くやつ。前はヒロシがやってて、今はスギちゃんがやってるんですけど、ヒロシさんもスギちゃんも英語力が極めて低いんですよ。でもなんか通じてるんですよね。多少英語を知ってる側からすると、「そんなの通じるわけがない」みたいなコミュニケーションなんですけど、なんだかんだで話がちゃんとできてるんですよね。あのパワーはすごいなと思います。

久保 それで言うと、渡辺直美の英語力もそんな高くないと思うんだけど……。

能町 高くないんだ?

久保 でも向こうのお客さんの前でトークする動画を見ていたら、ちゃんと通じてウケてたから、「すごい、この域に行ってるんだ」と思って。

──どんなトークなんですか?

久保 「ニューヨークに来て驚いたことってある?」みたいに聞かれて、「ニューヨークのトイレ、ソーダーティー」みたいなことを言うんだけど、「トイレのドアの上と下が安全のために開いてるのはわかるけど、たまに横が空いてるときがある」って。「その横の隙間から隣の人と目があって『ハーイ』ってなる。あれが気まずい」みたいなトークが、そんなに英語力は高くないけど、ちゃんとウケててびっくりしたんだよね。

ヒャダ やっぱ勢いなんですかねえ。

能町 ジェスチャーまで加えれば、ちゃんと通じるのかなあ。

ヒャダ 海外に行くと、こっちは大して英語力ないのに、そんなのお構いなしにめっちゃしゃべって盛り上がってくる人、いるじゃないですか。

能町 いるいる(笑)。

ヒャダ ああなりたいなって思うんですよ。

能町 そういう相手は本当に、「人にどう見られているか」というセンサーが鈍いんでしょうね。というより、日本人が敏感すぎるんだろうけど。

ヒャダ 「なんで通じると思ってる?」っていう。

能町 そういえば、こないだ珍しい仕事を……いや仕事にはなってないんですけど、フィンランドの新聞からインタビューされたんです(*)。
*有料会員しか読めませんが、記事はこちら。タイトルの日本語訳は「友達として一緒に暮らす」。

一同 ええ〜!?

能町 「ヘルシンギン・サノマット」というフィンランド最大の新聞らしいんですけど、その新聞に、うちの「結婚生活」の話を聞かれたんですよ。どうやって知ったのかわからないですけど、新しい形の家族みたいなことで。最初はその新聞のつなぎ役みたいなのをやってる、日本人の方からメールがきて。それでZoomでインタビューされることになって、ちょうどアキラ(仮の夫)はタイに行ってたから、タイと青森と群馬とヘルシンキの4箇所でつないで。

久保 すごい!

能町 最初にメールで依頼されたとき、「インタビューは英語でよろしいですか?」と言われたんですけど、「無理無理、できるわけない」っつって。それで通訳としてその人が入ってくれたんですけど。私たち、今までもいろんなメディアで「結婚」にまつわるインタビューを受けてるんですよ。もう3、4年こういう生活をしてるから、インタビューを受けすぎて、ちょっと定番ネタができはじめてるんです。そのネタが、今回のフィンランドからのインタビューでもウケたんですよ。

一同 へえ〜!

能町 こういう話はやっぱり向こうでもウケるんだなっていう。「2人で過ごしててトラブルはないんですか?」という質問で、まあ大きなトラブルはないんです。すごく小さなトラブルはあるんですけど……という流れでアキラがよく話すやつがあって、私はトイレットペーパーはシングル派なんですけど、アキラはダブルがいいんですよ。そういうしょうもないことで揉めます、という話をするとけっこうウケて。

久保 海外もシングル、ダブルがあるのかな。

能町 あるのかもしれない。わかんないけど。

久保 シングル派の主張わかんない。

能町 え?

久保 シングル派の主張がわからない。

能町 あ、私のシングル派がダメだってことですか?

久保 そうですね。

能町 だって使うとき、どうせぐるぐる巻くじゃないですか。だったら二重にする必要なくないですか?

久保 そんなに巻かない。

能町 あ、そうですか。じゃあ、大丈夫です。

一同 (笑)

ヒャダ 別にわかってもらおうとはせず、わかってもらいたくもない(笑)。

久保 ごめん……私、すごく嫌な人になってた。

ヒャダ 当たり屋みたいな感じでしたよ。

久保 クソリプ飛ばしてごめんなさい!

能町 いいんです、いいんです。

久保 ごめん。こうやって嫌な人間になっていくんだな、私。シングル派の人に「気持ちがわからない」みたいなことを言って(笑)。

ヒャダ 突然の噛みつきでしたよ。

(桂銀淑「大阪暮色」を熱唱する久保ミツロウ。2024年6月30日のこじらせライブより)