元日のお墓参りで

娘の手製の雑煮を食べたが、ちっともおいしくなかった。でもそんなことを言おうものなら、烈火のごとく怒るに決まっているので、生煮えの餅を黙々と食す。そして、みんなで支度をして、息子と夫の墓参りへ。

墓前では「昨年は仲よくお雑煮を食べたね、お父さん」と涙があふれてきた。すると娘がしみじみ言う。「私、あまりお父さんのこと好きじゃなかった」。驚いて娘を見る。「お母さんだってそうでしょ。昔のことをグダグダ言ってさ」。

ちゃんと私と夫のやりとりを見ていたとは。なんだか恥ずかしい。じつは、夫からチクチク言われなくなってホッとした自分がいたのだ。「でも、お父さん、さびしいよ」と手を合わせた。


※婦人公論では「読者のひろば」への投稿を随時募集しています。

アンケート・投稿欄へ

【関連記事】
駐日ジョージア大使 勝手の分からないしゃぶしゃぶ屋バイトで日本女性のやさしさとお土産文化を知り。「だから大使館にはお菓子がない日がほとんどありません」【2024年上半期BEST】
老後のひとり暮らしに向く人は「部屋」を見ればわかる?遺品・生前整理会社代表「<ゴミ屋敷>と<モノ屋敷>は別のモノ」【2024年上半期BEST】
ステーキにケーキ、高脂質食品が太りやすいことは経験的にも学術的にも分かっているけれど…筋肉先生・谷本道哉が教える<食べていい脂質><よくない脂質>【2024年上半期BEST】