鱈の柚香蒸し 柚子醬油添え(イラスト:野澤幸代)

 

うち飯でカンパイ! 和洋中・エスニックの料理に精通するフードジャーナリスト・野澤幸代さんが、とっておきのお酒とメニューを提案。今回は、38年ぶりに醸造を再開した蔵元の純米吟醸に舌鼓を打って…(文・イラスト=野澤幸代)

花の酵母で醸した純米吟醸に、鱈の柚香蒸しを

神奈川県西部、足柄上郡開成町にある瀬戸酒造店はかなりユニークな蔵元です。創業は慶応元年(1865)ながら1980年に自家醸造を中断し、2018年38年ぶりに醸造を再開。実は、地域おこしの相談を受けたコンサルタント会社が自ら醸造に乗り出し、再始動させたのです。このストーリーに惹かれ、いろいろ試飲して買ったのが「あしがり郷零(ぜろ)号」。なんと開成町の花、あじさいの酵母で醸した純米吟醸! お花から酒造りの酵母が抽出できるなんて驚きです。

「あしがり郷零(ぜろ)号」

まろやかな口当たりと爽やかな酸味が白ワインに似ています。この味わいには白身魚の柚香蒸しが合いそう。旬の鱈に豆腐やきのこを足して、鱈ちり風にしましょう。最後に柚子の皮を散らして香りを移し、柚子果汁で割った醬油ですっきりいただきます(お好みでポン酢醬油でも)。今晩は一人だから300mL瓶がジャストサイズ。この蔵元、再開して1年なのに、フランスで開催された日本酒コンクールでいきなり入賞したり、ちょっと目が離せない存在なのです。

 

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