新しいことにワクワクする気持ち

松田 毎日ご先祖様に手を合わせるようになったそうだけれど、何がきっかけ?

水谷 19歳の頃、富本壮吉監督から「どうして君みたいな人が生まれたんだろう」と何度も言われました。それが心に残っていて、時々ふっと、自分はなぜ生まれてきたのだろうと考えるようになったんです。娘が生まれてからかなぁ。その頃から、ご先祖様に手を合わせるようになりました。

松田 自分の子孫ができたわけですものね。趣里さんから、また未来へと繋がっていく。

水谷 そうですね。

松田 今回、豊ちゃんの自伝を書き上げることができて、本当に感謝です。時代を俯瞰することもでき、昭和の役者や、当時の若者の熱みたいなものも改めて感じました。

水谷 僕らの青春時代は本当にエネルギーに溢れていた。優作ちゃんや僕だけではなく、まわりもそうだったし、密度の濃い時代だったと思います。

松田 この先、やってみたいことはありますか?

水谷 23年続いている『相棒』も、「まだ新しい何かがあるんじゃないか」と思わせてくれる。思えば不思議なドラマです。刻々と移りゆく時代のなかで、変化していく杉下右京を生きてみたい、と思うんでしょうね。

松田 そういえば今年は、舞台『帰ってきたマイ・ブラザー』にも出演されましたね。

水谷 23年ぶりです。「この先、舞台をやらずに役者人生を終えてしまうんだろうか」ともやもやした思いがずっとあったので、思い切ってやってよかったです。

松田 生の公演ならではの緊張感があるのでしょうね。体力的にも問題なかったですか?

水谷 1日2公演の日も、大丈夫でした!まだまだこの先、新しいことがありそうだとワクワクする気持ちは、マミさんと出会った若い頃と変わらずに持ち続けています。