江原 私も、仏教がなかったら、神道は正しく伝わらなかったと思います。スピリチュアルの観点から言えば、「神」も「仏」も、同じ崇高なエナジー。「神」という存在は、そもそもこの世に姿を持ったことのない自然霊のこと。
たとえば太陽神は、神道では天照大神、仏教では大日如来ですが、呼び名が変わっているだけで、同じものを指しています。呼び方の差は、「コップをどの面から見るか」の違いのようなもの。同じコップであることに変わりはないんです。
丹生 「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界文化遺産に登録されたのも、「神道と仏教の融合」というところにユネスコが注目してのこと。そこに祈りそのもの、信仰の源泉を感じさせるからです。
江原 おっしゃる通りです。でも、「文化遺産」であることを知らない人も多いですよね。富士山なんかもそう。世界“文化”遺産なのに、自然遺産だと思っている人がいます。一帯には浅間神社がありますが、つまり、山岳信仰、富士信仰が認められたということ。富士山はご神体ですから、本来、ハイキング気分で登るところではないと、私はいつも言っているんです。
丹生 本当にそうですね。私は神社本庁にいた頃、仕事で全国を回りましたので、各地にどんな神社があってどんな特徴があるか知ることができました。ここに来て、高野山にほど近いこの地が仏教信仰が中心なのかと思いきや、神社が64社あり、その半数に20年ごとに改修する「遷宮」の制度が残っている。それだけ、「神道の祈り」をどこよりも大切にしているということです。このお宮も、地元の崇敬者に支えられています。