経済ジャーナリストの荻原博子さんが、お金に関するお得な情報をわかりやすく解説する新連載「トクする!荻原博子のマネーNEWS」。今回は「食卓を揺るがした令和の米騒動」です。(イラスト=さかがわ成美)
食卓を揺るがした令和の米騒動
先日、米を買おうと思ったら、近所のスーパーの棚からすっかり消えていて、びっくり仰天。
原因は、昨年の天候不順による不作に加え、インバウンド需要の拡大や減反政策による供給減です。しかも、テレビなどで大々的に「米不足」が報道されたことで、今まであまり米を食べていなかった人まで買いだめに走り、ますます品薄に。
実は30年前にも、スーパーの棚から米が消えたことがありました。記録的な長雨と冷夏、日照不足で米が不作となり、高い闇米が出回って価格が高騰したのです。しかも、米農家に泥棒が入る事件まで起きて大騒ぎに。「平成の米騒動」と言われました。
これに対して当時の細川護煕(もりひろ)政権は、それまでの「米の自給自足の原則を堅持」との方針を転換し、タイ米など外国産米を輸入。私も「タイ米を美味しく食べる方法」などという記事を書いた覚えがあります。
騒動は、翌年の夏からは沖縄産の早場米を皮切りに米が市場に出回ったことで収束しました。
その時の教訓から、政府は1995年に米の備蓄を制度化する法律をつくり、現在、年間100万トン前後の米を備蓄しています。
だとすれば、この備蓄米を放出することで、今回の米不足は即座に解消するのではないでしょうか。
ところが、大阪の吉村洋文知事が備蓄米の放出を政府に要請しても、手続きに時間がかかることや新米がそろそろ出回ることを理由に動かなかったそう。おそらく、備蓄米放出によって米の価格が下がることが嫌なのでしょう。