「余計なお世話」をしてくる人が……
とはいえ、家族のなかに病気の人がいるというのは大変です。実際、夫婦どちらかがうつ病になり、結果的に離婚される方も大勢いるみたいですし……。私の場合はずっと仲よくしている友だちがいて、毎日メールをしていました。しんどい気持ちをストレートに話せる人がいたのは本当によかったです。逆にそういう人がいなかったら、困っていたかも。
また、私にとってのストレスはツレのうつ病だけではありませんでした。余計なお世話をしてくる人がけっこういるんです。うちの場合、一番「余計なお世話」だったのはツレの両親でした。「電気療法を受けなさい」とか「気分転換になるから旅行をしなさい」とか。「引っ越しなさい」とも言われました。病気になったことが周りに知れ渡っているから、と。うつ病になったのは恥ずかしいこと、だから隠れなさいという意味ですね。
ご批判もあるかもしれませんが、私はツレの両親に「もう会わないでください」と手紙を書きました。「余計なお世話」はツレが直接言われることが多かったのですが、その後落ち込むことがすごく多くて。
私の手紙を読んだお義母さんは「話をしましょう」と私に会いに来られましたよ。「キター!」と思ったんですが(笑)、言われれば言われるほど夫が落ち込み、状態が悪くなることを率直に話しました。「じゃあ、会えると言われるまで会いません」と納得してくれたので、よかったです。
あの時はどうやったらツレを守れるかをすごく考えていましたね。大変さはありましたが、今振り返ると、つらかった時のことは覚えていないんです。脳が忘れさせるようにしているのかもしれませんが、どちらかといえば「いい経験をした」という気持ちのほうが大きい。ただ、そう思えるようになったのは寛解(症状は出ておらず治っている状態)してから3、4年経ち、「もう大丈夫」と思えるようになってからでした。
「なんで働いて助けてくれないのかな」
寛解したのは2007年です。ただ、その後も台風が来れば寝込むし、低気圧がくると「ダメだー!」となるし。「また再発したらどうしよう」と、しょっちゅう心配はしていました。
そんななか、なんと私の妊娠が判明。結婚して10年以上子どもができなかったので驚きました。それに正直言うと、私がツレのうつ病のことを書いた著書『ツレがうつになりまして。』はよく売れて、「やっと仕事がうまくいき始めたのに、どうしよう」と、困った気持ちのほうが強かった。でもツレは「自分が育児をする」とすぐに決めたみたいです。驚いたし、「そうは言っても、やっぱりお母さんが赤ちゃんを育てないとダメなんじゃないの?」という思いもありましたね。そういう意味では、私のほうが“役割”にとらわれていたのかもしれません。