今、苦しい時期の真っ只中にいる人へ

一方で、私自身も変わったと実感しているんですよ。ツレにも最近、すごくよく言われます。「あんなにブツブツ文句ばっかり言って暮らしてたのに、本当に変わったよね」と。
最初にお話ししたように、私は自己肯定感が低くて、ネガティブ思考ががっちり身に付いてました。だけどツレがうつ病になり、一緒になってネガティブでいたら自分も追い詰められる。「あっちは病気だけど私は元気なんだから、私が自分のネガティブを何とかしなきゃ」と気がついたんですよ。

ネガティブな人って、全部が後ろ向き。だから行動と言葉をまず変えようと思いました。考え方から変えようとすると難しいですからね。しかも、その変化は自分にも周りにも見えにくい。だからまずは言動──たとえば、みんなに挨拶するとか、笑顔でいるとか。あと、何より自分を認めるのが大事なので、自分で自分を褒めたりもしました。そうしていると、周りの人が「なんだか最近、変わったね」と言ってくれるようになったのです。それがまた自信につながって、自分がどんどん変わっていきました。

子どもの存在も大きいです。2人きりだと行き詰まっていたのが、もう1人いることで中和されるというのを、すごく感じています。でもそう言えるのは、子育ての大半をツレがやってくれているからかもしれませんね。

ツレのほうは、子育てに行き詰まって、だいぶ悶々としておりました(笑)。でも彼には開拓していく能力があるので、ママ友とつきあってみたり、パパ友をつくってみたり。もともとコミュニケーション能力が高い人なのです。

ツレの両親との仲も、今はとっても良好です。寛解して薬をやめ、出歩けるようになった頃に、ツレから連絡をとるようになりました。子どもが生まれてからはもうバッチリです。

今、苦しい時期の真っ只中にいる人には、私たちの話が遠い世界の出来事のように思えるかもしれません。うつ病って、先が見えないし、いつよくなるかもわからないですし。かつての私たちも、1日1日、その時その時をどうしたら楽に過ごせるかだけを考えて生きていました。

ひとつ言えるとしたら、周りの人がストレスをためないで、充実して生きることが大事かな。たぶんそれはご本人に伝わり、いい影響を及ぼすと思います。「自分のせいで家族がつらい思いをしている」という罪悪感を減らせるので。

ツレがうつ病になったおかげで、私たちの人生は思ってもみなかった方向へと進んでいきました。「流れに乗って身を任せる」というのは、うつ病とのつきあい方にも通じるような気がします。今は、できることをしながら、生きることを楽しもうと思っています。