【治療】2012年以降に治療薬が登場

線維筋痛症の治療には、まず正しい診断が重要です。「検査をしても損傷や炎症がないのに痛む」「身体の広範囲の痛みが3ヵ月以上続いている」などの症状を確認。そして、圧痛点を調べます(下図参照)。身体に分布する18ヵ所を押し、飛び上がるほどの痛みのある圧痛点が11ヵ所以上あるのを確認したうえで、その他の症状なども加えて点数化し、総合的に判断します。

●線維筋痛症を診断する圧縮点

治療は「薬物療法」と「非薬物療法(有酸素運動、認知行動療法、ストレス対策)」の2種類。線維筋痛症を適応とする治療薬は近年まで存在しませんでしたが、神経性疼痛治療薬の「プレガバリン(商品名:リリカ)」が2012年に登場。そして15年にはSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)系抗うつ薬の「デュロキセチン(商品名:サインバルタ)」が登場し、保険適用薬として認められました。

プレガバリンで神経性の痛みを緩和し、デュロキセチンで下行性疼痛抑制系の働きを調整します。この2つの薬は科学的根拠もあり、治療に有効と認められています。あとは患者さんの状態に合わせてさまざまな薬を選択していきます。これで症状が消える、とまではいきませんが、60%は軽減できるようになりました。

●線維筋痛症に対する薬物療法