このよをば
宴が進み、公御の間で盃が交わされるのを見届けた道長。薄雲を纏った月を見上げると、「歌を詠みたくなった」と語り、実資に返歌を求めます。
このよをば わがよとぞおもふ もちづきの かけたることも なしと思へば
一堂の前で「望月の歌」を詠んだ道長。その歌を聞いてまひろは息をのみ、娘たちは険しい目で、妻の倫子はにこやかに道長を見つめます。
一方、「そのような優美なお歌に返す歌はございませぬ」と返した実資は、人々に唱和するように求めます。
一堂が唱和するなか、月を見上げ、それからまひろを見つめる道長。その姿に月のしずくが降り注ぎます。
すると物語の第10回にて、道長との逢瀬のために訪れた廃邸から見上げたあの夜の満月が、まひろの中にふたたび蘇るのでした。