けれど、引っかかることがひとつあった。デザイン的に、ご年配用とギャル用のあいだがぽっかり空いているのだ。縁に太めのレースがあしらわれた、昔ながらのベージュ系のものと、猫や犬のキャラクターがプリントされた、可愛らしいタイプの腹巻きパンツのあいだに、なにもない。虚無の荒野が広がっている。お店に行けば妥当なものが見つかるかもしれないが、そのためだけに外出するのは面倒だ。

サイトを巡回しているうち、無駄な装飾のない、シックな藤色の腹巻きパンツを見つけた。そうそう、こういうのが欲しかったのよと値段を見ると、税抜きで1枚1800円ちょい。税込みなら2000円超えだ。腹巻きパンツ一枚にしては高すぎる。どうにか1500円前後で着地させたい。そのあとも探索を続けたが、これぞ、という逸品には出会えなかった。

自分のことしか考えていないからそう思うのだろうけれど、なんにしてもいまの四十代にとっての「ちょうどいい」が少な過ぎる気がする。

十年前の四十代はもっとお金があったろうし、生きる矜持が「生活のレベルを年齢とともに上げていく」ことにあったように思う。

しかし、いまの四十代は、リーズナブルな価格帯のもので、ある程度生活が回ってしまうことを知っている。どんなに「上質なものに囲まれた、ていねいな生活」を喧伝されても、用もないのに100均ショップへ立ち寄ってしまう。私のように、うっかり四十歳を超えてしまった単身者は特にそうだろう。

結局、私はダイソーで買った子どもっぽい柄の腹巻きパンツを愛用することにした。なんと、価格は税抜き200円。安いせいか、薄手なのが良い。ワンシーズンで捨てるにも、罪悪感はまるで生まれないだろう。

我ながら完璧な買い物をしたと思ったけれど、これが私の想像していた四十代かと問われれば、黙って首を横に振るしかない。

世の製造業に携わるみなさんには、ギャルとご年配のあいだにも人がいることを知ってほしい。しっくりくるものを探している新しい中年女たちは、値ごろな品に喜んで財布の紐を緩める瞬間を、まだかまだかと待っている。

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