「シンデレラ」をどう生かせるのか
私が「ギネス世界一のシンデレラコレクター」になったきっかけをよく聞かれるのですが、実はシンデレラをはじめとするプリンセスが好きで集めていたというわけではありません。
私の20代はグラフィックデザイナーを本業としており、自分自身の勉強のために見たことのない物や自分が描けない物にとても魅力を感じ、世界中の書籍やアート作品などをデザインの資料として集めていました。
その中でも特に1800年代の昔の絵本は、当時の有名画家が描いていたりすることも魅力でした。まだファッション誌も無い時代でしたので、衣装や家具などが最先端のデザインで描かれていて、どの物語の挿絵も刺激的でデザインの学びになったのです。
特に「シンデレラの物語」は、いつどのように生まれ、なぜこんなにも世界中で愛され、ずっと語り継がれているのか、知っているようで知らないことが多いです。その謎や未知の部分を繙いていく鍵となるのが、ギネス世界記録に認定していただいた私のコレクションなのです。
これらのコレクションアイテムからは、300年続くシンデレラの歴史や文化、音楽などを幅広く知ることができ、新しい気づきや発見に出会えます。その秘密や本質を知ると、これまでよく知っているはずだったシンデレラの見え方が違ってくるかもしれません。そしてシンデレラの生き方は、大きな変化に直面している現代の私たちにとって示唆に富んだもの。「お姫さまなんて私の人生に関係ない」ということではなく、ぜひ多くの人に知っていただき、役立てていただきたいと思います。
そして、「子どもホスピスへの貢献」に「シンデレラ」をどう生かせるのか、自分なりに考えました。私の会社ではディズニーのライセンス商品も作っています。また、2015年にはシンデレラの実写版映画『シンデレラ』が公開され、今まで以上にシンデレラが注目されていました。そこで、100年前のシンデレラやおとぎ話のコレクションを使って展覧会が開催できれば、多くの人に見に来て頂き、その会場で子どもホスピスの告知をすることで、その必要性を知ってもらえるきっかけができるのではないかと考えました。こうして、2015年から、全国の美術館で「プリンセスミュージアム」と称した展覧会を年に1度開催することになったのです。