<回答>
いいとこ取りの弟にバトンタッチしてOK
相談者の年齢から察して、母親もかなり高齢でしょう。その分、長い年月我慢を強いられた相談者が怒って声を上げるのは当然のこと。「大人げない」と自制する必要はありません。ただ、忍従か絶縁か、という究極の2択ではなく、中庸を探ってみましょう。
そもそもこの弟が何もしないのがおかしい。実家を離れても、家を継ぐのは長男である弟、嫁に行った姉は雑務をし、いずれは介護も引き受けさせられる。けれど遺産は半々で……。そんないいとこ取りをしている弟を、遠慮会釈なく巻きこむべきです。
弟の妻との関係も意外と大事。特段仲が悪いのでなければ、連絡を密にして、実家の内情をこまめに共有しておくといいですね。
この相談者はまず、弟にはっきり「私だけが面倒を押し付けられるのはもういやだ」と言いましょう。そして年末の帰省したタイミングなどに、自分と夫、弟夫婦、両親の家族全員で話し合いの場を設けるのです。
そこで、自分が母親にさせられてきたことを書き出した、長い年表を見せるのも一案ですね。弟に、長男として、きょうだいとして、そろそろバトンタッチしたいと伝えましょう。
私が担当したケースでは、親の横暴に長年従わされた挙句、古い納屋の片付けを命じられた娘が我慢の限界に達して、弟夫婦に任せた例がありました。
そして母にも「もう我慢なんかしない」と宣言するのです。ここで大事なのが、シンプルに淡々と言うこと。いざ積年の思いを口に出そうとすると、人は感情が高ぶって言葉が溢れそうになる。そこをグッと自制して「もうできません」とだけピシリ。激高して騒ぐ母親に、あなたも怒鳴り返しては、同じ土俵に上がったことになります。
年老いた母に冷たくしたら、亡くなったときに後悔するかも……と思うかもしれません。でも私の経験上、相談者と同じように母からこき使われてきた娘は、「やるべきことはやった」と言う人がほとんどです。
するかどうかわからない後悔を、今から案じる必要はありません。あなたは役割を十全に果たしているのですから。