妻の無自覚なマウント
一方の相談者である妻は、どちらかというときつい性格。とくに夫に対しては言いたい放題ダメ出しをするほうで、夫が家事をしない、などの不満を本人にもストレートにぶつけていました。
また、「普段の服がダサい」とか「食事のマナーが悪い」と気に入らない点を指摘しては、「ダメ亭主」と吐き捨てることもあったようです。
こんなこともありました。この夫婦はマンションに住んでいたのですが、マナーの悪い住民がいて、夜にベランダで騒いだり、タバコを吸ったりすることがあったそうです。
妻は夫に「管理会社に相談してほしい」と頼みましたが、夫はそこまでするのも……とズルズルと対応を引き延ばしていたそうです。それで妻はカチンときて、夫に面とむかって「管理会社に行ってもくれない、役立たず」と責め立てたそうです。
妻は夫よりやや年上です。そのせいか、夫に対して無意識に「上から目線」でものを言ってしまうのです。真面目な性格の夫にとって、妻のそうしたマウントは日ごろからかなりストレスだったようです。
結婚前、夫の実家が貧乏で、遠慮した夫は結納という儀式もやらずに入籍しようとしました。そのとき、妻の父親から「しきたりや常識を守らない人間はダメだ、結婚には反対だ」と言われた過去があります。
ただ妻は結局、父の反対を押し切って結婚を決めました。そのため、妻には「私のおかげで結婚できたのよ」という意識がありました。
しかも妻はそうした自分のマウンティングを「不適切」なことだと思ってもいませんでした。そういう妻の独善性がじわじわと夫婦関係を悪化させていることも、離婚を切り出されるまで気づかなかったのです。