働く人のメンタル不調は、ほぼ「適応」の障害

働く人に増えているメンタル不調ですが、産業医、主治医としてそうした人たちに数多く接してきた経験から、そのほとんどは「適応障害」だと私は考えています。

適応障害とは、生活のなかで何らかの外的なストレスがあって、3か月から6か月経っても慣れることができず、日常生活に支障をきたすほどの心身の症状が出る病気です

『産業医が教える 会社の休み方』(著:薮野淳也/中央公論新社)

診察室では、「明確なストレスの原因があって、どうしても慣れることができず、そのストレスのもととなっていることについてずっと考えてしまうような状態です」と説明しています。

分かりやすい一例が、五月病です。

4月に入社して、ゴールデンウィーク頃までは前向きに頑張るものの、新卒や転職の方だと連休が明けた頃から任される仕事が増えたり、メンターから離れて仕事を行うようになったりして仕事の負荷が増えてきますよね。

そうすると、ストレスがたまって、徐々に体調を崩していく……というのが五月病。新しい環境での負荷に慣れることができずに心身の不調が出てくるわけですから、医学的にいえば、まさに適応障害なのです。