そのあとどうなったかって?
聞くも涙、語るも長い物語が続くのだが、かいつまんで申し上げると、その魚屋さんにて、おいしい新秋刀魚をつつきつつ、急遽、作戦会議が開かれた。夜行バスは動いているか寝台列車はどうだ、大阪まで移動して翌朝、伊丹空港から飛行機で帰ったらどうだ、関空はどうだと、あれやこれや調べて……、実際にスマホを駆使して検索してくれたのは、H氏の有能秘書、大森君だった。
が、どのケースもバツ。飛行機はもはや満席だらけ。と、最後にH相談役が声を発した。
「米子空港から北回りの飛行機なら台風の影響は受けないぞ。空席あるか?」
さっそく大森君がスマホを睨む。なんとチケット予約ができた。バンザーイ! その晩は岡山に一泊し、翌朝早く車で岡山を出て北上。二時間後に米子鬼太郎空港に到着した。
でも、まだ油断はできない。羽田が大雨で欠航になったらどうする。その場合は普通列車で敦賀へ出て、北陸新幹線で帰ろう。
結果的に私とS子さんは敦賀を訪れることなく、飛行機で羽田に降り立つことができた。広島を出てから二十四時間が経過していた。
このたびの教訓。無理な願いを聞いてくれる心の広い友人は、全国の港港に持っておくことが大切だ。
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