「分人主義」とは
小説家の平野啓一郎(ひらのけいいちろう)さんが書いた『私とは何か』という本があるんだけど、平野さんは「分人主義(ぶんじんしゅぎ)」っていう考え方をこの本で書いてるのね。
どういうことかっていうと、例えば、実家の親に見せる顔、大親友に見せる顔、恋人に見せる顔、職場に見せる顔……これらの顔ってさ、それぞれちょっとモードが違うよね。「このどれが本当の自分なの?」っていう議論に対して、「いや、それはどれも全部自分だよ」と。
つまり、人間っていうのは多面体で、どれか1つが本当の自分ってことはなく、その集合体が自分なんだ、っていうことなの。そこには、個人が分割されて、それぞれ分人があるんだって。「分人」はシチュエーションや相手によって、一人の人間から色々引き出されるんだよっていう考え方なんだよね。
この考え方でいうと「なな」の中で、「お母さん」っていう分人と「仕事する人」の分人の割合が多くなりすぎちゃってるんじゃないかな。だから今は、割合が小さくなっちゃってる「恋愛分人」が、「いや~~~ちょっと、恋したいな~~~」ってなってるんだよ!