新年早々の足痺れ
雨が本降りになってきた頃。ふだんは通ることのできない、本殿を通過して、神楽殿へ向かった。いよいよご祈願となるのだが、ここからまた初体験が待ち構えていた。
神楽殿にはおそらく予約済みの企業参拝者が、すでに100人近くもいる。そこに一般参加者も加わるので合計約200人でご祈願を受けることになった。
「こっから正座天国よ」
背後の参拝者がそう話すのが聞こえた。結果、宮司様が企業名も含めて100近くの参拝名を読み上げたので、1時間ほどかかった。その間、私は自分の名前が呼ばれることを正座で待つのみ。途中、知り合いのデザイン会社が偶然呼ばれて一瞬笑ったけれど、基本は座るのみ。刻々と進んでいくのは時間と、足の痺れだけだった。
そしてご祈願は滞りなく、終わった。痺れはしぶとく、立ち上がるまでに時間がかかったが、なんとか新年の行事をクリア。予定していた時間よりもだいぶオーバーしたし、大人数で受けることも初めてのこと。思う通りには進行しなかったけれど、なんだか晴れやかな気持ちだ。
神楽殿を出ると雨が降っていた。あー、靴、汚れちゃうかな、と思いながら帰り道を歩くと、私の後ろを歩いていたご婦人方がこう言った。
「これは東京にとってひさびさの恵みの雨よね! 縁起がいいわ!」
そうか、瑞祥吉雨(ずいしょうきちう)とも聞くし、幸先がいいのかもしれない。ほぼ思いつきだったけれど、明治神宮に来て良かったと地下鉄の駅へ向かった。