苦しさの序章
とある金曜日の夕方。まさにこの『婦人公論.jp』の編集長と、取材をどうしようかとメールでやり取りをしていた。
(……んんん? あれ、胃がムカムカする?)
突然の胃もたれがやってくる。昼に食べた蕎麦に何か入っていた? それとも今日変えた柔軟剤の匂いがキツかった? まあ少し横になれば回復するだろうと、デスクを離れてホットカーペットで横になった。
(寝れば大丈夫。だいたいなんでも回復する)
そんな想像も虚しく、胃もたれは時間経過とともに悪化。吐き気らしきもの、倦怠感、寒気(発熱はなし)がトリプルコンボで襲ってきた。これはまずい。何かが私の体内で起きている。映画『はたらく細胞』でたとえるなら、今頃体内は警報級の大騒ぎだ……と、初期段階なのでまだバカなことを考える余裕があった。どうしようもないので寝室に向かって洋服のままベッドで横になる。とはいえ、尋常ではない胃の気持ち悪さが一向におさまらず、まったく寝られない。「うう……」と唸りながら、やり過ごすだけだ。
夕方の発症からどっぷり日は暮れて、19時ごろになると胃の気持ち悪さに加えて、キリキリと痛む腹痛も勃発。どうやらここまでがノロウイルスの序章だったらしい。そしてほどなくしてトイレへ直行。ここから30分から1時間おきに、下痢と嘔吐の繰り返し。ムカムカするので水や胃薬を飲んでも、即座に体内から排出。
(これは……地獄の沙汰か……。最近、私は何をしたのか……)
痛みと吐き気とお尻のヒリヒリに襲われて、まともに寝られず朝を迎えた。もう途中からトイレと行き来することも面倒になり、毛布をトイレに持ち込んで寝ていた。
たまたま私は自宅で作業をしていたから良かったけれど、読者のみなさまは会社員が多いはず。突然、ノロウイルスの症状の嵐に社内、社外、通勤中などに襲われたら、ひとたまりもない。とにかく対策をしてウイルスから逃げるのだ。