高齢おひとりさまは、退院するのも一苦労
3日目に喉が痛くなったので、看護師に「トローチください、最近のコロナは喉からくるのもあるらしいですね」と伝えた。すると、5分もしないうちに青い防護服を着た人がどやどやと入ってきて、有無を言わせずPCR検査の棒を鼻に突っ込み、陽性判定。あれよあれよという間にベッドごと、私物の入った戸棚も一緒にコロナ病棟へ。
熱があるわけでなし、食欲も排泄も普通で、治したいのは大腿骨骨折だけなのに。自分の身は自分で守ろうと、リハビリの手順を書いてもらい自分なりに実行。歩行器で病室内の歩けるスペースを工夫し、隔離の10日間を乗り切った。
退院は正月明けの6日に決定したが、娘の都合がつかず、付き添いは無理という。さてどうしたものか。民生委員に相談しようとして思い出したのが、昔のボランティア仲間。事情を話すと介護できる人を頼んでくれて、退院の移動全般と、玄関前でヘルパーを待機させる心遣いで、無事、自由に過ごせる贅沢な日々に戻ることができた。
ケアマネさん、ヘルパーさん、リハビリ病院の方たち、みんな私より若い。高齢者が自立して生活できるように支えてくれることに感謝しかない。
いまの私にいちばん大切なのは時間。高齢者だって24時間を無駄に過ごしてはもったいない。赤ちゃんは一つずつできることが増えるが、高齢者は一つずつできなくなっていく。
けれど同じ時間をいかに充実させるかは心がけ次第。この2年、体調不良の日は無理をせず、日の出とともに外に出て、1時間かけて歩いている。坂道のてっぺんで朝日の写真をパチリ。季節により異なる絶景だ。
読書やパソコンゲーム、ボランティア、いつまでたっても上達しないピアノ練習。元気に楽しんでいるので、あちらで夫に会ったときはいろいろ話してあげよう。