筋トレより効果が出やすい

次回から、さまざまな形式のクイズをご紹介しますが、いずれも脳の「ワーキングメモリ」を強化する効果があります。ワーキングメモリとは脳のメモ帳のようなもので、会話や計算、作業をする時、必要な情報を一時的に保存したり、組み合わせて処理したりする機能のこと。この力は20代をピークに落ちていきますが、今回のような認知トレーニングで比較的速やかに改善できることが知られています。

余談ですが、脳の細胞は筋肉細胞より変化が早く表れるといわれます。「何歳からでも鍛えられ、使わなければ衰える」のは脳も筋肉も同じ。脳のほうが即効性が高いとわかれば、やる気も湧いてくるのでは?

2つの絵の相違点を見つける「まちがい探し」では、空間認知力に関係する後頭連合野や、画像記憶にかかわる右側の前頭前野をはたらかせます。注意力や集中力も要するため、脳トレにはうってつけです。

「写真クイズ」は、自分の記憶の中にある画像記憶を呼び起こす問題。前頭前野や海馬が活性化され、記憶を引き出す力を養うことができるでしょう。

文章のみの設問や、キーワードの穴埋めクイズなどは、言語記憶から言葉を引き出しながら解いていきます。文字を読んだり話したりする言語野が活発化するので、適切な言葉を素早く選んで話す「言語の流暢性」を鍛えることができます。

また、加齢とともに注意力や持続力が落ちるので、クロスワードのような、解くのに時間がかかる問題もおすすめ。

いくら考えても答えが出ない時は、遠慮なく解答を見てください。「下手の考え休むに似たり」といいますが、答えが出なくて唸っている時は、すでに脳は沈静化して、神経細胞はつながりません。答えを見て、「なるほど」と口に出して納得するほうが、ドーパミン系が活性化し、やる気を引き出してくれます。また、間違えてもネガティブな気持ちにならず前向きに取り組むこと。時間を置いて繰り返し挑戦することで、新たなアイデアが出やすくなるでしょう。