伸びしろがたくさん

私個人的には、元日のお雑煮づくりがまず1つ目の難関。

母とわが家、妹の藤九郎、元彌一家で10名揃って本家で食べるのだが、皆がお節をつまみ始め、ほど良きところでお雑煮を振る舞う事ができれば大成功!

お餅はお餅屋さんののし餅を宗家が切るので、大きさは多少ばらつきがある。それにより、煮えるタイミングが違うので、注意深く観察する必要があるのだ。

ちなみに、のし餅を切るのは先代の父の時からずっと宗家のお仕事であって、それを引き継いでいる。そして難しいお餅の投入タイミング…これは妹の藤九郎との共同作業。ここでも息を合わせることが大事なポイント。

たくさんのお雑煮のお椀
元日のお餅が投入されるのを待つお椀たち

そして明くる日は、ご先祖さまのもとへお墓参りに揃って出かける。

墓前では、般若心経と正信偈(正式名称を「正信念仏偈(しょうしんねんぶつげ)」と言い、親鸞が著した「教行信証」の一部)を声高らかに読経する。これは母も一緒なので、(一応導師は母である)狂言の時のように声の高さが揃わなくても良いことになっている。なぜなら、母はプロではないからだ。お線香、お花をお供えするのも共同作業。ここでもチームワークが発揮されると私は思っている。

そしてアレクサもとい、七草。(アレクサとは、皆さまご存知Amazonが開発した人口知能AI音声認識スピーカー。つまらないダジャレはさておき)続いて鏡開き。だんだんとお正月ムードが町からも薄れてくる頃には、新春狂言会の稽古にもより熱が入ってくる。

今年は、1月25日が第148回和泉会〜新春狂言会〜。お正月の定番といえば狂言の世界では「末広かり」。(ちなみに「末広かり」と書きますが、「すえひろがり」と「か」は濁って発音します。お笑いコンビの方は「すゑひろがりず」ですが、ここからとられていると思います)

お話は、果報者がお正月の節会に末広かり(先の広がった扇)を客人に振る舞うので、都で買い求めてくるよう、召使いの太郎冠者に言いつける。太郎冠者は都の詐欺師すっぱ(=すっぱ抜くの語源にもなった)に騙されて、古い傘を売りつけられてしまう。家に持ち帰ると主人は怒って太郎冠者を追い出すが、すっぱに習った囃子物で機嫌を直し終演を迎えるというもの。お正月らしい祝言曲である。

今回は、果報者を和泉淳子、太郎冠者を三宅藤九郎、すっぱを和泉慶子(きょうこ)の女性狂言師で演じ、華やかな印象の舞台であったと好評をいただいた。

狂言はもともと女人禁制のきまりは無いが、女性狂言師はまだまだ歴史が浅く、半世紀ほどである。

まさに伸びしろがたくさん、脱皮し放題である。

何より、わが家の次世代の子どもたちも狂言が大好きと言ってくれるのが、励みになる。