ホルモンの力も借りて
もうひとつ私が行っているのは、年を重ねて表れた身体の不調を改善するために「ホルモン」の力を借りたことでしょうか。私は、52歳で閉経した頃から不眠や冷え、動けないほどの疲労感など重い更年期の症状に苦しむことになりました。
この時、まだ婦人科の領域と思われていた女性ホルモン(エストロゲン)に関する文献に、内科医の私が出合えたことは幸運でした。恐る恐る服用すると、憑き物が落ちたみたいに蘇ることができたのです。
その経験に背中を押されて、57歳の時に内科医では日本初の女性ホルモン補充療法専門外来「女性成人病クリニック」を開くことができました。
ところが、ルンルンだった60代を超え、70代後半から女性ホルモンの効果をあまり感じられなくなったのです。体力の限界なのだろうかと考えた時、ふと思いついたのが「男性ホルモン」の力を借りることでした。
男性ホルモンは女性の体内でも分泌され、筋肉や骨の形成、また気力を上向かせることにも深く関わっています。以前から関心は持っていたのですが、継続して使いやすい経口薬を海外から入手し、まずは自分で試してみました。
すると気力が湧き、クリニックが入るビルの建て替えを機に引退を考えていたにもかかわらず、新しく男性ホルモン補充療法も付け加えて、小さなクリニックを作ってしまったのです。この時、私は87歳でした。
男性ホルモンの効果は人によってまちまちですが、中高老年女性の強い味方になってくれる予感が十分にあります。老いを止めることはできませんし、私も日々、新たな老いや衰えを自覚して哀しい思いをすることも。それでも私の好奇心を湧き上がらせてくれるのは、男性ホルモンのおかげだと思っています。
90歳の記念に、「今年こそはみんなでシャンゼリゼを歩こうね」と、旅友と話しているところですが、……はて?