粟餅所・澤屋 粟餅

搗きたての粟の餅に
あんこときな粉をまとわせて。
北野詣に欠かせない
名物茶屋の虫養いの菓子

北野天満宮の門前茶屋でいただく名物菓子。粟に糯米(もちごめ)を少し加えて搗(つ)いた餅に、こし餡ときな粉がまとわせてあるだけのシンプルなものですが、滋味に溢れ、お腹がホクホクと温まるような満足感があります。注文を受けてから餅を丸める、その鮮やかな手つきを眺めながら、出来上がりを待つのも楽しみの一つです。

店のはじまりは江戸時代の初め頃。代々「澤屋與惣兵衛」を名乗り、現当主は十三代目。九十七歳で現役の先代が子供の頃には、餡六個・きな粉四個の十個の餅を一人の客に出していたのだそう。遠方から天神詣に訪れた人たちの胃袋を満たし、親しまれていたことが窺えます。

今も昔も変わらぬ味ですが、今では餡三個・きな粉二個が定番で、お腹具合に合わせて餡二個・きな粉一個の組み合わせも選べます。

持ち帰る際は木製の折箱に詰めてくれますが、やわらかな餅の味わいが身上ゆえ、その日のうちにいただくことをお勧めします。